2020.02.14
閑・感・観~寄稿コーナー~
毎日新聞での私のセクションは出版営業部、地方部、調査審議室へと変わり、平成元年に早期退社しました。
私は平成17年に高槻市より東近江市に移住し、終(つい)の栖(すみか)と定めました。そろそろ幕引きです。最後の第16短編集は多分、来年の秋の刊行となりそうです。
(元出版営業部・佐々木 国広)
文学活動については、佐々木さんからの要請で、梶川伸が簡単にまとめさせてもらいました。
短編集は「陰画」(昭和44年)から始まり、平成27年の「幻の鳥」まで15集。「乳母車の記憶」で第10回北日本文学賞、「バトン ダンス」で第1回神戸エルマール文学賞、「赤い月夜に」で銀華文学賞佳作。句集は「桃源」(昭和61年)から「青嵐」(平成30年)まで5集。
「幻の鳥」の後書き「余滴」で、自らの作品について書いています。「筆者は純然たる私小説作家だとはいえない。体験ないし事実はあくまでも素材、種子にすぎず、その度合いに軽重あるにせよ、あらゆる芸術、文学活動は基本的に再現ではなく再創造でなけらばならぬと固く信じている」。その上で、佐々木さんにとって書くことの意味を続けています。「創作という文学的営為は筆者にとって一種の精神療法というべく、怪しくも不可解な精神のバランスをとっている節がある」