2022.02.24
閑・感・観~寄稿コーナー~
私の住む八幡市の松花堂美術館の早春展として、「花と蝶々と鴨政雄 彫金の世界」展が、2022年2月26日(土)から始まりますので、お知らせいたします。
鴨政雄(1906~2000)は、妻麻里子の父です。 昭和のはじめ、帝展に第4部(美術工芸)が設けられるなど「日本工芸の青春期」 に 、金工の新進作家でした。第23回帝展(1932)入選の「銀器大皿」が皇室お買い上げと なって宮内庁三の丸尚蔵館に所蔵されています。
27歳の時に敗血症で右足を切断したため東京美術学校の教職を辞退。やがて戦禍を避け、郷里高松へ(そこでも空襲で焼け出されますが)。 それから半世紀余り、郊外の山麓の茅屋で、蝶や草花など、身近な自然を題材に彫り続け、清楚な独自の世界を表現してきました。日展や現代工芸美術展には、最長老格で最後まで出品し、94歳で永眠しました。
残された作品を妻が預かっており、23回忌にもなりますので、展覧させていただ くことになりました。小さな美術館ですが、彫金の盛器や花瓶、額、水指、菓子器、香炉など46点(日展や現代工芸美術展への出品作を含む)、ほかに帯留やペンダントなどの小品や、図案スケッチなども合わせて、およそ100点ほどを展示します。
会期は3月21日(春分の日)までです。(月曜休館)
(元地方部専門編集委員・斎藤 清明)075-983-1171