先輩後輩
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新刊紹介 小倉孝保著『かなえびと』=東京毎友会のHPから 

2025.10.06

先輩後輩

 定価:1925円(1750円+税)文藝春秋

 難病の子ども3000人の夢を叶えた伝説的な女性の最期の1カ月に密着した、感動のノンフィクション——。

 文藝春秋のHPによると、大野寿子さんは、「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の初代事務局長として、難病の子どもたちの夢を叶える活動をしてきた。

 筋ジストロフィーに冒されながら「甲子園で赤星選手に会いたい」と願った和馬くん。急性リンパ性白血病の身をおして絵本作りに励んだ美緒ちゃん。ユーイング肉腫で歩けなくなるも、山形に暮らす家族との再会を果たした真也くん……。大野さんが支援した子どもの数は約3000人におよぶ。

 その大野さんが2024年6月に肝内胆管がんで「余命1ヶ月」を宣告される。残された時間がわずかだと知った大野さんは、こう問いかける。「自分自身の夢は何か」――。思い浮かんだのは、自著『メイク・ア・ウィッシュ 夢の実現が人生を変えた』を無料で配り、多くの人に子供たちの勇気ある姿、そして命の輝きを伝えることだった。

 話題作『35年目のラブレター』の著者としても知られる、ノンフィクション作家の小倉孝保さんは、衰弱しながらも懸命に生きる大野さんに徹底密着。本人をはじめ家族、友人、助けられた子ども、そしてその遺族への長時間にわたるインタビューを行い、大野さんの闘病日記も引用しながら、亡くなる瞬間までの日々を克明に描き出している。

               ◇

 小倉孝保さんは1964年滋賀県生まれ、88年入社。カイロ、ニューヨーク両支局長、欧州総局長(ロンドン)、外信部長などを経て論説委員兼専門編集委員。

 2014年、日本人として初めて英国外国特派員協会賞受賞。

 『柔の恩人 「女子柔道の母」ラスティ・カノコギが夢見た世界』(小学館)で第18回小学館ノンフィクション大賞、第23回ミズノスポーツライター賞最優秀賞をダブル受賞。

 著書に『がんになる前に乳房を切除する 遺伝性乳がん治療の最前線』(文藝春秋)、『中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事』(角川ソフィア文庫)、『35年目のラブレター』(講談社文庫)などがある。

=東京毎友会のホームページから2025年10月1日

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