2025.04.12
先輩後輩
68入社・中島健一郎さんが『事件記者 今だから明かせる真相、そして裏話』を出版して、届きました。紹介します。
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筆者、中島健一郎は毎日新聞社に1968年に入社した。浅間山荘事件の取材に長野支局から参加して、山崎宗次警視庁キャップから「君は事件記者にピッタリだ」と1972年に捜査1課、3課担当記者に引き上げられた。
以来、事件や調査報道に駈けずり回る日々。どんどん事件記者が身に沁みついて行った。ワシントン特派員、警視庁キャップ、社会部と外信部デスク、そしてワシントン支局長、東京社会部長と立場が変わっても事件記者の本能、根性がいつも取材活動の根底にあった。
ここで僕を事件記者に育てた毎日新聞社に感謝を表明したい。「毎日土建屋、朝日エセ紳士、読売与太者」と言われる中で、毎日新聞の社風は実に風通しが良く、先輩は面倒みが良く、公平公正だった。「鉄砲玉のケンちゃん」と言われた僕が取材に夢中になって行方不明になっても「あいつ、何かくわえて来るだろう」と笑って待っていてくれた。最近、大報道されているフジテレビのような女子アナら社員を有名タレントに業務の延長として差し出すような卑劣さは僕が知る限りなかった。
毎日新聞の事件記者は不正、不公平を憎み、様々な事件・事故の裏を暴くのに昼夜をいとわなかった。ロッキード事件をはじめ何か起これば勇猛果敢に躊躇なく突進した。僕は先輩らからそうした姿勢を学んだ。事件記者人生を送れたことに悔いはなく有難く思っている。
そして高齢者(今年5月23日に81歳)になって、朝方の4時、5時に目が覚めてしまう。「まだ起きるには早い」と布団にくるまっていると、走馬灯のように、いろいろな事件や出来事が頭をよぎる。昼間には思い出せないのに、それが実にリアルで細部まで脳裏に浮かんで来るのである。脳には過去の記録がちゃんと記録されているに違いない。
だったら本にまとめてみようかと書き綴った。かつてはネタ元への配慮などで書けなかったことも「もう時効だろう」と書いた。お許し願いたい。裏話も正直に明かした。紛争取材のストレス解消に中米でギャンブルをして儲かったお金をキャバレーで散財したことも記した。「平気なように見えても、ケンちゃんも緊張していたのだな」と理解して下さい。気軽に読んでいただければ嬉しいです。
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オンデマンド出版、194㌻、定価2200円(税込)。
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=東京毎友会のホームページから2025年4月7日
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