2024.01.12
先輩後輩
新聞社に33年、大学教師に転じて14年。70歳で定年退職して、今年は喜寿である。大学教師を辞めるとき、「大学教師は辞めますが、研究者を辞めるつもりはありません」と大口(?)を叩いた。以来、今回の本で3冊目になる。研究の「質」はともかく、「有言実行」を続けていることに、「自分で自分をほめたい」気がないではない。取り組みたいテーマはまだあるが、知力・体力との兼ね合いで、さて、どうなるか。
本の内容については、編集者が作ってくれた文章をそのまま引く。冒頭の一文は、著者として気にいっている。
天皇はここから「ニュース」になった──。
生涯にわたって全国各地を行幸し、神話世界を別にすれば日本史上で最初の「旅する天皇」であった明治天皇。とりわけ1872年から1885年にかけ6回にわたって全国各地を回った大規模な巡幸は「明治六大巡幸」と呼ばれ、天皇と民衆の視覚的相互関係におけるエポックメイキングな出来事として研究の対象とされてきた。六大巡幸はまた、「旅する天皇」の誕生であると同時に、「報道される天皇」の誕生でもあった。日本における最初の本格的メディアとして新聞が続々と創刊された同時代性に着目し、両者のかかわりを重層的な視点で描く。新聞と天皇を重ね合わせるところから、近代日本の初発の時期における国民国家の形成において、当時のニューメディアが果たした役割を明らかにする。
(奥 武則)
『明治六大巡幸――「報道される天皇」の誕生』は中央公論新社刊、税込み1870円
=東京毎友会のホームページから2024年1月12日
(トップページ→新刊紹介)
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