2022.06.09
先輩後輩
毎日新聞のHPをググっていたら、元大阪社会部・サンデー毎日編集長の近藤勝重さんの新著『聞き出す力』(幻冬舎刊、1386円)は、大阪本社発行の夕刊(4月9日付)で紹介された。東京本社版には転載されたか、分からない。
再録したい。《新聞記者、雑誌編集者として鳴らしてきた近藤勝重さんの『聞き出す力』(幻冬舎)が出版された。ハウツー本ではなく、著者の半世紀以上にわたる取材経験やインタビュー時のエピソードがちりばめられている。世代を超え、会話の接ぎ穂になるかもしれない。
目次の「寡黙な健さんを饒舌(じょうぜつ)にさせた日」。著者は2012年7月に俳優、高倉健さんへのインタビューを試みた。型通りのあいさつ、ぎくしゃくとした雰囲気。それを破ったのが著者の乾坤一擲(けんこんいってき)ともいえる健さんの「物まね」だった。主演映画のタイトル、殺し文句の数々を著者が口にするうち打ち解けた雰囲気に。体当たりで聞き出せたのも長年の健さんファンだったことが伝わったからだ。
純文学、エンターテインメントを問わず作家名が頻出する。小林秀雄、古井由吉、桜木紫乃さん、高村薫さん。そんな中で、井上靖、司馬遼太郎、吉村昭らの作品や対談を引き、事実の積み重ねによって真実に向かう道のりを見つけようともがいた先人に敬意を表しながら、そのために「聞き出す力」は大切だと導く。
著者は、1969年に毎日新聞入社。京都支局を皮切りに大阪本社社会部遊軍記者や「サンデー毎日」編集長などを歴任。現在は洒脱(しゃだつ)なコラムの書き手で本紙「近藤流健康川柳」選者でもある。
本書には映画以外の芸能界も多数出てくる。歌の世界でライバル視された作詞家、阿久悠となかにし礼の「言葉遣いの違い」、2人と美空ひばりの微妙な「三角関係」への言及。吉本興業の盛衰史やストリップ小屋の舞台裏を掲載したときの裏話も。
「三菱銀行事件」「グリコ・森永事件」など特筆される事件を取材した際の「聞き出す力」にも触れられている。【有本忠浩】》
東京毎友会のホームページから2022年5月31日
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