2022.05.31
先輩後輩
1964年入社山本茂さん(85歳)が俳句集に続いて短歌集『郷愁Die Nostalgie』を出版した。これまでに発行した2つの歌集に新作を加え改訂した。
まず「雨煙別川」(うえんべつがわ)。1997(平成9)年12月に出した。郷里の北海道夕張郡栗山町(旧角田村)に流れる。少年期の追想である。
明治半ば/入植したる越中衆/凍土を掘れば/古き手拭
夕張郡栗山町の裏長屋/薄き蒲団にすきま風吹く
班長の「歩調トレ、右向ケ右、敬礼!」/國民學校一年生
国敗れ/青い山脈/トニー谷/ララ物資ミルク/苦い馬鈴薯
〇頁〇行〇字を墨で消せ/命ずる教師の表情見えず
高校進学が許されず、働きながら夜学に通う。
下校する昼間生と出会ふとき/頬伏せる癖/我つみびとか
心ひるむ何事あらむ/胸を張れ/おもてを上げよ/山本茂!
もうひとつ「花の宴」は北大に入学して恵迪寮に入り、60年安保闘争、演劇活動まで。
玄関の名札裏返り/赤きまま/唐牛健太郎/永久不在
たそがれて角帽と血を売りに行く/獣の飢えを/飢えたるMay day
ラヂオから女子大生死亡のニュース/六〇年六月十五日の夕
◇
令和4(2022)年5月初版。楡影舎(☏049・298・7513)発行。頒価1200円(税込み)
著者略歴。昭和12年、北海道夕張郡角田村に出生。北大(農)卒、新聞記者、ノンフィクション作家、雑誌編集長、九州女子大教授(国文学科)
主著『物語の女』(講談社)、『神童』(文藝春秋)、『歴史毒本』(光文社)、『カーン博士の肖像』『アンラッキー・ブルース』(ベースボール・マガジン社)、『遥かなる村上藩』(恒文社)、『日本を生きる』(現代思想社)など。
1990年『衝撃—東独スポーツ王国の秘密』(テレビ朝日出版部)で第1回ミズノ・スポーツライター賞受賞。他に戯曲、翻訳、小説、歌集、句集など多数。埼玉県所沢市に在住。
(堤 哲)
=東京毎友会のホームページから2022年5月3日
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