2022.03.11
先輩後輩
ぺりかん社の「なるにはBOOKS」シリーズの1冊として『外交官になるには』が出版されました。このシリーズは4冊目ですが、これまでの司法関係とはガラッと変わり、外交官に焦点を当てたハウツー本です。
私は外交官の仕事をしたことはありませんが、毎日新聞時代にモスクワ特派員を6年間やらせていただいたので、その体験が役立つのではと思い、チャレンジしました。
現役の外交官として活躍されている方々8人を外務省に選んで頂き、オンライン方式でインタビューしたのが本の核になっています。8人の内訳は男女4人ずつで、大使から国連代表部員、さらには儀典外国訪問室員まで様々な職種の方と話ができ、有意義でした。インタビューでは、外交官になろうと思った動機、外国勤務の厳しさと楽しさ、外交官を目指す方へのアドバイスを中心に聞きました。
一番感動したのは、女性職員が海外で元気一杯働いていることが実感出来たことです。海外で一番厳しいのは外国語を習得することですが、総合職や外務省専門職員はまず海外で2年間、あるいは3年間外国語を叩き込まれて任地へ出かけて行きます。私自身、外国語で苦労しただけに、それをマスターした努力にまず頭が下がります。中には、外国の研修先で同僚と結婚し、子育てしながら働いている女性もいます。
最近の採用状況を聞くと、女性職員の数が年々増えていて、2021年4月に入省した女性は70人で、全体の48%を占めています。中でも総合職は18人で、男性より多い56%に上っています。他の省庁と比べても、外務省の女性採用比率は上位を占めています。
入省8年目の女性職員に男女の仕事ぶりを聞いたところ、「仕事は分野や内容に区別なく、男女どちらも担当します。私自身、担う範囲が広がり、とてもやりがいがあります」と話していました。男女とも海外で仕事をしており、性別や学歴に関係なく、良い意味で個人主義的になってきているのだろうと思います。
ちなみに、女性に人気の理由を外務省人事課の女性職員に聞くと「能力の高い女性が受験しているということでしょう」という答が返ってきました。
もう少し探ってみると、外務省が学生向けに年2回程度開いているセミナー「学生と語る」が人気のようです。中堅職員が外交課題について講演した後、若手職員男女2人が自分の体験談を披露する形式です。この後、学生からの質問に答える時間を設けていて、学生たちの「ホンネを知りたい」という欲求に答えているからでしょう。
世界は日々狭くなり、遠い国のクーデターや軍隊配備のニュースが我々の不安感を日々高めているのが実情です。こういう時代だからこそ、外国へ出かけて行き、実態を自分で確かめてみようという人が増えているのかもしれません。外交官は国を代表してそういう仕事ができる職場です。関心のある方は、ぜひこの本を手にとって読んでみてください。きっと役にたつと思います。
(飯島 一孝)
『外交官になるには』は、ぺりかん社刊。定価 本体1500円+税。
ISBN:9784831516077
東京毎友会のホームページから2022年12月17日
(トップページ→新刊紹介)
最近の投稿
2024.10.27
元外信部、経済部の嶌信彦さんが『私のジャーナリスト人生 記者60年、世界と日本の現場をえぐる』を刊行=東京毎友会のHPから
2024.09.18
新刊紹介 71入社、元長野支局員で元村長・伊藤博文さんが『あの世適齢期』を刊行=東京毎友会のHPから
2024.09.09
新刊紹介 95歳、元気でコラム執筆の元エコノミスト編集長、碓井彊さんが「日本経済点描 続々編」刊行≒東京毎友会のHPから
2024.08.22
新刊紹介 『未来への遺言 いま戦争を語らなきゃいけない』を前田浩智主筆、砂間裕之取締役が共著で=「日本記者クラブ会報」マイBOOK、マイPR転載(東京毎友会のHPから)