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新刊紹介 元西部本社学芸部記者、米本浩二さん『魂の邂逅 石牟礼道子と渡辺京二』(東京毎友会のHPから)

2020.11.19

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 この本では、「石牟礼道子」と「邂逅」について考察しました。辞書によると「邂逅」とは「思いがけなく会うこと。めぐりあい」という意味です。

 石牟礼道子は何と邂逅してきたか。熊本県の天草に生まれ、慈愛にみちたやさしい両親と邂逅しています。それなのに道子はこの世がいやでいやでたまりません。思春期の道子は呪詛のような文句をノートに書き散らします。文字との邂逅です。次に短歌との邂逅がありました。代用教員をしながら短歌に生の希望を見出します。

 以後の主な邂逅を列挙してみましょう。

 熊本の短歌会での志賀狂太との邂逅。
 異性として意識したひとつ下の弟一の死。
 サークル村での森崎和江、上野英信との邂逅。聞き書きに目覚める。
 女性史研究の高群逸枝、その夫、橋本憲三との邂逅。女性の苦難の歴史に思いをはせる。
 渡辺京二との邂逅。ともに水俣病闘争に参加。文学・思想的同志となる。

 その後、渡辺は道子と半世紀以上、行動を共にし、道子作品の成就に全身全霊で尽くします。道子の生涯で一番大きな出来事は渡辺京二との出会いです。渡辺にとっても道子との出会いは生涯を左右する出来事でした。ふたりはどうやって魂の邂逅を果たしたのか。本書では1969年春をクローズアップし、ふたりの交わした言葉をたどっています。

(新潮社、税込み1980円)

                               (米本 浩二=元毎日新聞学芸部記者)

※米本浩二さんは1961年、徳島県生まれ。毎日新聞学芸部記者を経て著述業。石牟礼道子資料保存会研究員。著書に『みぞれふる空――脊髄小脳変性症と家族の2000日』(文藝春秋)、『評伝 石牟礼道子――渚に立つひと』(新潮社、第69回読売文学賞評論・伝記賞)、『不知火のほとりで――石牟礼道子終焉記』(毎日新聞出版)。今回の出版は、文芸誌「新潮」に「石牟礼道子と渡辺京二 不器用な魂の邂逅」として連載された。福岡市在住。

=東京毎友会のホームページから(2020年11月12日)

(東京毎友会→新刊紹介)

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