閑・感・観~寄稿コーナー~
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大道寺峰子のマレーシアだより(3)車事情

2025.11.25

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 2025年の私の大ニュースは、車の購入です。首都圏は電車が比較的発達しているのですが、郊外には車でなければ行けないところも結構あります。タクシー(アプリによる車の配車サービス含む)料金が安く、普段の生活ではあまり不自由は感じませんが、昨年転職して在宅勤務から通勤に変わったこともあり、マレーシア生活5年目突入を機についに購入を決断しました。

車を購入すると必ずといっていいほど、リボンを付けて写真撮影があります

 日本でも最近、海外の運転免許証を持つ外国人が日本の免許証を取得する「外免切替」が問題になりましたが、私も日本の免許証から外免切替で、日本から移り住んだ直後の2022年にマレーシアの免許証を取得しました。ただ、このマレーシアの外免切替は今年5月に突然認められなくなりました。このようないきなりの制度変更が珍しくないのが、マレーシアです。早めに切り替えていて良かった、と思いました。

 マレーシアは日本同様、左側通行、右ハンドル。「大阪で運転してたなら運転は楽勝でしょう」と日本人仲間からかわわれることが多いのですが、さすがに道路事情が異なります。ラウンドアバウト(環状交差点)や、道路に盛り上がりを設けたスピードバンプ(減速帯)など、旧宗主国イギリスの道路をモデルにしているようです。

 また、基本的に左折は信号待ちをしなくていいように道路が作られているためか、ウインカーを出さない、もしくはウインカーを出しっぱなしの運転手が多くて驚きます。加えて、なるべく信号を作りたくないのか、左折するのに6車線ぐらいの道路を右から左に横切らないといけないことがよくあって、そんな道路でも周囲の車のウインカーは当てにできないわ、その間をバイクが猛スピードで右側から左側からすり抜けていくわ……。日々緊張しながら運転しています。

 さらに、ガソリン料金補助の新制度が、今年9月末から導入されました。マレーシア国民には1リットル1.99リンギ(約70円)で固定なのに対し、外国人は原油価格などに基づく変動制になりました。現在は2.60リンギ(約90円)程度となっており、それでも日本に比べると安いのですが、最近の円安もあり、円で給料が支給される駐在員の人には大きな痛手となっています。

レギュラーガソリン「RON95」2.60リンギを示すガソリンスタンド。基本、全国統一価格なので、値段が表示されているガソリンスタンドがそもそも珍しい

 そもそもマレーシア国民は現在、カード型の免許証は廃止され、すべてアプリ型の免許証となっており、そのアプリの情報で外国人と区別をし、異なる料金制度が適用されるという仕組みです。

 付け加えると、日本では免許証が身分証明書として広く通用しますが、マレーシアでは免許証はあくまで免許証にしか過ぎず、身分証明書としてはほぼ意味を持ちません。

 一方で、旧イギリス植民地国などでつくる「コモンウェルス」の一員であるため、マレーシアの免許証があると、イギリスなどでそのまま運転できるそうです。

 マレーシアは人口3500万人のうち、約4分の1に当たる880万人が首都圏に集中していることもあり、一歩首都圏を離れるとアブラヤシ畑などの間に高速道路が広がっています。ドライブをしていると、牛のマークの標識はよく見る(実際によくいる)のですが、先日、山間部を旅した際は、クロヒョウと、マレーバクに注意という標識を見かけました。このほか夜間を中心に、ゾウ、マレーグマなどに遭遇することもたまにあるそうです。

クロヒョウやマレーバクとの遭遇に注意を促す道路標識

首都クアラルンプールは南北に細長いマレーシア半島部の中心に位置しているため、半日も運転すればほぼどこでも行けます。高速料金も日本と比べると圧倒的に安く助かっています。私もせっかく車を買ったのだからフル活用すべく、なるべくマレーシア国内をドライブしています。

                       (元広告局、大道寺 峰子)

※この連載は随時連載します。