閑・感・観~寄稿コーナー~
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新刊紹介 城島徹さん『日中が育てた絵本編集者 唐亜明』『世界の遺児に教育を! あしなが運動創始者・玉井義臣自伝』

2025.01.14

閑・感・観~寄稿コーナー~

 元社会部記者、城島徹さんが単著『日中が育てた絵本編集者 唐亜明』と編著書『世界の遺児に教育を! あしなが運動創始者・玉井義臣自伝』の2冊の新刊を出しましたので、出版社の解説付きで紹介します。

◆『日中が育てた絵本編集者 唐亜明』(藤原書店、3000円+税)

◎習近平主席と同じ1953年、北京で生まれた唐亜明(タン・ヤミン)。

◎日本留学をへて、抗日戦を戦い、やがて『人民日報』総編集長を務めた父は、苛烈な文化大革命と権力闘争に翻弄される。

◎息子・唐亜明は、伝説の絵本編集者であり「絵本の父」、福音館書店の松居直にスカウトされ来日。日本で編集者となり、世界中を旅するようになる。

◎佐野洋子、加古里子、茨木のり子、俵万智、山極寿一、美智子上皇后陛下、モンゴルやウクライナの画家たち……ユニークな表現者との“面白い”絵本づくり。

◎今でこそ語れる、娘から聞き取った林彪墜落事件(1971)の真相も盛り込まれたノンフィクション。

◆『世界の遺児に教育を! あしなが運動創始者・玉井義臣自伝』(藤原書店、2700円+税)

 「半世紀に及ぶ「あしなが運動」の歴史で、玉井さんは1100億円の寄付を集め、11万人の遺児の教育を支えた。東日本津波災害では90億円を集め、速やかに津波遺児を救った。コロナ禍の今日では、国よりも早く115万円の緊急教育支援金を全奨学生6500人に送った。この大きな共生の活動を日本に創り出した先駆者は、18年前からアフリカの人材育成にも乗り出している。コロナ禍を転機に共生の時代に向かおうとする今、日本の誇るべき先駆者の歩みをたどれば、日本と世界の明るい未来が浮かび上がってくるだろう」(あしなが育英会常任顧問で盟友だった元検事の堀田力さん)

 なお、城島さんは村嶋帰之という大正から昭和にかけて活躍した大阪毎日新聞記者が遺した原稿や資料を遺族や賀川豊彦記念松沢資料館の方たちと整理作業と寄贈先探しをしてきたそうです。書簡や写真のほか労働争議や貧困、カフェ、遊郭などの興味深い資料が含まれていて、幸いにも村嶋が初代校長を務めた平和学園(神奈川県茅ケ崎市)への寄贈が昨年末に決まったそうです。村嶋は賀川豊彦や西尾末廣の盟友で、著作選集(全5巻)も出していますが、城島さんや私にとって社会部と神戸支局の大先輩でもあります。

                           (梶川 伸)