2024.06.16
閑・感・観~寄稿コーナー~
軍事アナリストの小川和久氏は「圧倒され、胸が詰まります」と感想をくれ、次のような推薦文を寄せてくれました。
「絶望の島で繰り広げられた豪軍の虐待と卑劣な上官の裏切り。それでも従容と刑死した兵士たちが後世に托した魂の叫び。『日本人よ、誇りを取り戻せ。そして立ち上がれ』」
本書は、昨年暮れに出した『昭和留魂録 戦犯一一四五名、四三五六日の処刑誌』(展転社刊)に続き、BC級戦犯事件の本質と実相をよりリアルに伝えたいと書いたノンフィクションです。
第一部「ラバウルの銃声」では、若き海軍大尉片山日出雄が東京・巣鴨で逮捕されてからラバウルで処刑されるまでの六百二十一日間を死とどう向き合ったのか、周辺の戦犯たちの群像をまじえてドキュメンタリーとして描きました。第二部「ある戦犯家族の肖像」では、片山大尉が尊敬する海軍大佐白水洋が家族に宛てたラスト・メッセージと、その家族が戦後をどう生きたかです。
もうすぐ敗戦から80年になります。本書によって、国家の再興を信じ、世界平和を後世に託し、日本人の誇りを胸に雄々しく逝った人たちがいたことに思いをはせ、特に若い世代には「このように生きて、死んでいった先人たちがいた」と知り、日本人が平和を愛する、類い稀な民族であることに気づいてくれたら、これほどの喜びはありません。
(朝野 富三)
『BC級戦犯の愛と死 この人を見よ』展転社刊、2024年6月17日発売、税込み1760円。
朝野富三さんは、1947年生まれ。著書に『昭和留魂録 戦犯一一四五名、四三五六日の処刑誌』(展転社)、『「三畳小屋」の伝言 陸軍大将今村均の戦後』(新風書房)、『昭和史ドキュメント ゴー・ストップ事件』(三一書房)、『細菌戦部隊と自決した二人の医学者』及び『奇病流行性出血熱』(ともに常石敬一氏と共著、新潮社)ほか。
=東京毎友会のホームページから2024年6月12日
(トップページ→新刊紹介)
https://www.maiyukai.com/book/20240612