閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

和歌山県知事賞を受賞して(中島 章雄)

2024.01.03

閑・感・観~寄稿コーナー~

 毎友会運営委員・㏋編集委員の梶川伸さんから、私が、2023年度和歌山県知事表彰を受けたことについて「原稿を」、と声をかけていただきました。ありがとうございます。毎日新聞記者として働いてきたことを中心に、和歌山放送社長、毎日文化センター社長を務めてきたことなどが評価されての知事表彰だと思っています。以下、拙文をご覧いただければ幸いです。

 2023年5月30日、和歌山市内のホテル「アバローム紀の国」鳳凰の間で、2023年度和歌山県知事表彰の表彰式に家内と出席させていただき、岸本周平知事から、県知事表彰状と記念品(銀杯)をいただきました。県知事表彰規定では、「公共の福祉増進に功労のあった方、その他広く県民の模範となるべき方」への表彰とされています。和歌山県文化賞選考委員長などとして関わらせていただいたことなど「教育、文化等の振興」分野での表彰です。冊子に記載された受賞関連文章は以下の通りです。

 文化振興 和歌山市 中島章雄 67歳 毎日新聞社記者としての経験を基にした分析・論評で数々の賞を受賞するとともに、毎日文化センターの文化活動拠点としての機能向上に尽力した。また、和歌山県文化表彰選考委員長として、文化の向上発展に特に顕著な功績のある方々の顕彰に貢献するなど、本県の文化振興に大きく寄与した。

 和歌山県知事表彰は、1953年に始まり、71回目。今回の受賞者は個人48人と5団体でした。

 私は、東大を卒業し、1980年4月、毎日新聞社に入社。初任地は「坊ちゃん」の愛媛県松山市でした。83年に大阪社会部に異動。大阪府警捜査2課など事件や編集局遊軍での調査報道などを経験。戦後最大の経済事件といわれたイトマン事件では主筆賞を受賞しました。94年に、東京本社政治部へ。首相官邸キャップ、政治部副部長として日本の政治・経済のど真ん中での取材を経験させていただきました。その後、2003年、大阪本社特別報道部長、京都支局長、09年編集局次長を経て、12年、毎日新聞社が筆頭株主の和歌山放送の代表取締役社長に就任。テレビ和歌山取締役(非常勤)、一般社団法人日本民間放送連盟理事も経験させていただき、地方からの情報発信と会社の立て直しに全力を挙げました。

 当時は、「F転」といって、南海大地震などの大規模災害時にはAMラジオ単営の和歌山放送をFMでも聞けるようにする必要性が指摘されていた時期でした。しかし、ご多分に漏れず、和歌山放送の経営状態は赤字すれすれ、厳しい状態で、「このままでは、全国的なAMラジオ社の『F転』の流れに乗り遅れる恐れが大きいのでは」という状況でした。必死で、国・総務省と交渉したり、当時の和歌山県知事と「災害時のラジオの重要性を考えて欲しい。そのためにも県庁の支援を!」、などなど、言葉を荒げて激論を交わしたりしたことも、今となっては懐かしい思い出です。おかげさまで、県庁の支援があって和歌山放送はFM放送でも視聴できるようになっています。

 和歌山放送相談役となった2018年、勤務地は毎日文化センターとなり毎日新聞大阪本社ビルに出戻りとなりました。社長として毎日新聞の文化発信の拠点としての文化センターで、法外な講師料を支払っていた外国人講師などの講師料を正常なものに減らしたり、教室の天井や壁など傷んでいた数カ所の補修工事を実施したりするなど再整備させていただきました。

 文化勲章受章者で詩人の佐藤春夫が望郷五月歌で「空青し 山青し 海青し」と詠んだ和歌山に、いろいろなご縁もあって移り住んでからは、和歌山の素晴らしい自然と人情のあたたかさ、良さに魅かれて永住の地と決め、紀州材を中心にした木造の家を建てました。さらに和歌山放送の仕事と共に、「少しでもお役に立てれば」と和歌山県などの行政、和歌山県の発展と振興のため、和歌山の文化振興、県市町村の皆さんの幸福向上のために、和歌山県文化表彰選考委員長、国民文化祭和歌山企画会議議長・全国障害者芸術祭和歌山企画会議副議長、和歌山文化スポーツ助成事業選考委員、和歌山県教育委員会事務評価審議会委員など公的な各種審議会等の委員を務め、和歌山県の文化振興と発展の一助となるような活動をさせていただきました。その上で、大変栄誉ある賞をいただいたと思っております。

 さらにこれからも県民の皆さんの平和と安穏と幸福のために微力を尽くしていく決意です。

                        (元編集局、中島 章雄)

2023年和歌山県知事表彰の記念撮影の様子。前列右から3人目が中島章雄、向かって右後ろ後列右端が妻中島綾子=和歌山市のホテル「アバローム紀の国」鳳凰の間で、23年5月30日
岸本周平和歌山県知事からの表彰状
和歌山県知事表彰銀杯