閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

朝食は毎日、夕食は週3日の炊事担当(荒武 一彦)

2021.07.30

閑・感・観~寄稿コーナー~

 デスクから「追加寄稿」の声掛けがあり、筆を執っている次第です。

 先の「近況報告」で、書き残した日々の「ルーティン・ワーク」の一つに、「炊事担当」があります。「私が先に逝ったら、飢え死にするわよ・・・」と、妻に脅され、ボランティアグループの「男料理教室」に通い、3、4年前から台所で包丁を握り始めた。朝食は毎日、夕食は週3日、今のところほぼ完全遂行している。

 朝食は、圧力釜で玄米粥、そして、みそ汁、次にミキサーで自家製野菜・果実ジュース。

 粥はセットすれば、20分ほどで自動的に炊ける。みそ汁は、毎朝具の吟味に手間取るが、苦にはならない。ジュースは、青汁(ケール、アロエ)、ニンジン、バナナ、ミカン(トマト)、それに玄米黒酢をブレンド。味は旨いとは言えないが、体にはイイと信じている。

 夕食の献立は、初めはアレコレ本を漁ったが、最近は、ネットで手軽に探せるから、要領よく、楽にレシピを作ることができるようになってきた。ホームドクターが「塩分を減らせ」とうるさいので、「減塩」や「糖質オフ」のメニューをなるべく見つける。

 主菜、副菜、小鉢、小皿など4品が定番。手料理をつつきながら、時の気分で焼酎、ウイスキー、ワイン・・・チビリ、チビリやりながら、テレビのニュースやバライティーを見て、「時事放談」や「タレントいじり」」をやるのが癒しの夕餉。孫からは「おじいちゃんたちは悪口ばっかり言っている」とたしなめられるが、精神安定にはなる。

 料理の材料は、週3日通っているスポーツジム横のスーパーで買い揃える。スマホのキャッシュレスが出来るようになって、ルンルン。「キャベツが高いけど、どうしてかなあ」「玉子が安くなったのは、天候のせいかな」など、ちょっとした社会勉強?をしている気にもなる。

 もっとも、料理とジュースの材料は、なるべく自給自足を心掛けている。自宅の庭に4,50㎡ほどの菜園を作っている。狭いけど、品数だけは、道端の「青空市」に並べるぐらいはある。自慢するわけじゃないが、ご披露する。

 キュウリ、インゲン、長茄子・水ナス、トマト、ピーマン、オクラ、ゴーヤ、葱、サラダ菜、ケール、青じそ、アロエ、ミョウガ・・・など。我が家自慢の花オクラも、その時期には見事に咲く。きれいな大きな花びらがサラダになる。また、シーズンになれば、ミカンもたわわに熟し、ジュースに。

 苗選びから種まきなど栽培担当はすべて、妻。「田舎育ちなのに、どうしてやらないの?」と唆されるが、その手には乗らない。我が担当は、種まき、苗受け前の鍬とスコップによる耕耘、植え付けてからの支柱立てや網張り、そして水撒き。一応「家庭内分業」が確立している。

 こんな具合に、八十路夫婦でローカル・ライフの楽しみと実益を味わっている。

 昨年、炎暑の下で、庭に古い枕木10数本を敷き詰めてデッキを造った。ガーデンパーティーを楽しみにしていたが、コロナもあって「無観客五輪」ならぬ「無来客」状態。以前には、婦人の絵画グループ、娘婿がニュージランでコックをしている老夫婦一家が訪ねてくれたりして、磨いた?腕前を披露したこともあった。といっても、ちょっと趣向を凝らした焼きソバとかスパゲティーぐらい。いずれにしろ、今は、昔の夢。

 独りよがりの「近況報告」になりましたが、、ご容赦願います。

 皆さんの変わらぬご壮健を祈っております。

マイガーデン
我が家の野菜

追記

 たまたま今日(2021年7月28日)、「安保法制違憲訴訟おかやま」の証人尋問公判が、岡山地裁で開かれた。原告約600人の末席を汚していることもあるが、最近アレもコレもオンラインなので、生の声に触れたくもなり、足を運んだ。

 原告4人のほか、特別証人の憲法学者の志田陽子・武蔵野美大教授、軍事ジャーナリストの半田滋さん、そして元法制局長官と元最高裁判事が証言に立った。

 ご存じの通り、「安保法制」とは、2015年、第3次安倍内閣が成立を強行し、それまで憲法9条で否定されているとされて来た「集団的自衛権行使」を容認。「日本を、戦争が出来る国にするのか」「これは”戦争法“だ」と非難囂々となり、全国各地で「違憲訴訟」が広がった。

 志田、半田両証人が、反対論を展開するのは分る。しかし、政府サイドにいた他のお二人が、違憲性や問題点を縷々、痛烈の陳述したのには、やや驚きながらも留飲が下がる思いだった。また、今議論が湧き上がっている「台湾有事」にも言及が広がり、傍聴席に緊張が漂った。

 この本筋の話のほかに、僕にとっては、嬉しいハプニングがあった。傍聴席に座っていると、目の前の証人待機席に、突然、半田さんが着席。しばらく様子をうかがっていたが、思い切って声をかけた。

 「半田さん、いつも著書や講演やテレビで、いろいろ勉強させてもらっています。ファンです。これからも色々教えてください」

 キョトンとした表情だったが、笑顔を向けてくれた。ただ一瞬の出来事ながら、いい思い出が出来た。

                             (元編集局・荒武 一彦)