閑・感・観~寄稿コーナー~
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島暮らしから社内報作りに転身(元田 禎)

2021.06.21

閑・感・観~寄稿コーナー~

 東京で暮らす娘から、毎年、嫁さんと僕に誕生日祝いが届きます。2021年6月17日は60歳の誕生日で、今年は還暦祝いにふさわしい赤いちゃんちゃんこ、帽子のほか、お酒、酒のつまみがどっさり届きました。「毎日新聞社に居たら、今月が定年退職だったんだ」と思うと、何か感慨深いものがありました。

 2019年9月、広島支局を最後に早期退職しました。縁あって広島県福山市のマルコ水産で1年間漁師を体験。そして、昨年11月、大阪築港(大阪市港区)に本社がある総合物流業「辰巳商会」に就職し、社内報作りに携わっています。

 関西にお住まいの方なら、「天保山」という名前は聞いたことがあるでしょう。築港にある標高4・5㍍のこの山は、「日本一低い山」として知られています。

 港区のホームページによると、江戸時代の元禄年間以降、大阪港周辺は相次ぐ新田開発が進む一方、安治川や木津川の河口にたい積する土砂で川底が浅くなり、洪水や船舶の航行支障に悩まされるようになりました。1831(天保2)年のしゅんせつ工事は大規模なもので、その際の土砂で天保山は築かれました。

 この山にちなみ、大阪メトロ大阪港駅周辺を、広い意味で「天保山」と呼びます。幕末の志士・坂本龍馬は、この地から妻お龍を伴って船で薩摩に向かい、「日本初の新婚旅行」を成し遂げ、公園内には大きな案内看板があります。明治天皇が新政府の軍艦を閲覧した場所としても歴史に名をとどめ、世界最大級の水族館「海遊館」が立地していることでも有名です。

 安治川の対岸は此花区で、ユニバーサルスタジオジャパンの広大な敷地が続きます。近くに弊社の関連事務所があり、僕は時々、天保山渡船場から出る船に乗って、徒歩で訪れます。乗船時間は3分ほどで、本社から目的地までは徒歩20程度。電車で移動する場合は大阪メトロ、JRを乗り継ぎ40分はかかるので、重宝しています。

 「便利やろ。渡船は無料だし、これから結構利用するはず」と、仕事を引き継いでくれた山﨑一樹さんは言っていました。毎日OBの山﨑さんは、僕が高知支局デスクだった時の大阪本社地方部長でした。以来、長い付き合いで、自宅も近い。縁の深さを感じます。

 辰巳しんぶんは昭和24(1949)年1月に発刊され、毎月1回2000部を発行しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で行事やイベントが相次いで中止となり、毎月の紙面作りに無い知恵を絞っていますが、新聞社時代に培ったノウハウを微力ながら生かせればと思っています。

                             (元広島支局・元田 禎)

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