閑・感・観~寄稿コーナー~
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篤志面接委員活動が事例集に(梶川伸)

2021.05.02

閑・感・観~寄稿コーナー~

 私は2007年から大阪刑務所(堺市)で、篤志面接委員をしています。その活動内容について執筆を依頼され、公益財団法人・全国篤志面接委員連盟が2021年3月に発効した「私の指導事例集」に掲載されました。「体験談に思いを託して」というタイトルです。

 篤志面接委員はなじみのない言葉だと思います。受刑者の相談に乗ったり、入所時や出所前の指導プログラムの一端を担ったりします。私の場合は出所前指導で、おおむね月に1度、1時間ほど話をしてきました。その回数は140回になりました、新型コロナウイルスの拡大後は、所内感染を避けるため、活動はずっと停止しています。

 出所前なので、話の中心は「もう刑務所には戻ってこないでください」ということです。それがどんなに難しいことか。

 ある意味では犯罪まで行うほど人生の辛酸をなめている人たちです。薄っぺらな人生を送ってきた私の言葉など、もともと力を持っていません。再犯率は高く、ある受刑者に「話を聞くのは2度目」と言われ、「私の話は役に立っていない」と実感したしたこともあります。そんな悩みを書いてみました。

 もう1つは社会に帰って生きていくうえで、役に立つかもしれないと思う私なりの考えを話します。「社会に帰る」は、私が最初に刑務所で話をした際、刑務官に教えられた言い方です。「出所ではなく、社会に帰る、と考えてください」。そうなのです。社会の中で生きていくことが、本来の姿なのです。だからこそ刑務所の戻ってはいけないのです。

 私は遍路をしています。また、お遍路さんのための休憩所づくりをしている「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会にかかわっています。そこで、遍路体験の中で知った「利他の心」などを中心に語ります。そんなことを、文章にまとめました。

 遍路についても触れているので、支援する会のホームページにも掲載しました。関心がある方は、トップページ左端の項目から「論文・原稿」をクリックしてご覧ください。

◇「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会のホームページ

http://www.henrogoya.com/

                              (元地方部、梶川 伸)