閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

土佐文旦の実がなった(山藤 廉)

2020.08.04

閑・感・観~寄稿コーナー~

 長崎のザボンそっくりの黄色い実をつける土佐の特産品「土佐文旦」。辞書には、ザボンと同じとあるので、同種の柑橘類なのだろうが、私は少し違うと感じている。ザボンの方が一回り大きく、皮も厚い。土佐文旦の普通サイズは直径10センチくらいか。

 甘さは文旦の方だと思う。中でも「水晶文旦」の名がつく、高級品は糖度が高く、上品な甘さだ。高価なので、手が出せないでいたのだが、土佐出身の妻の友人が水晶を送ってくれた。あまりのおいしさに種を取っておき、わが家(南山城)の庭で空いてる植木鉢に蒔いておいた。

 育つとは思ってなく、ほったらかしていたのに、いつのまにか30センチくらいなのが数本伸びていた。逞しいのだ、と関心しながら15年くらい前に塀沿いに2本移植し、これまたほったらかしていた。うち1本が4㍍くらいになり、昨年秋に黄色いのが緑の葉っぱの間にぶら下がっているではないか。

 この春、茂る枝の中に小鳥が巣をつくって子育てしていたが、「ごめんな・・・」と言いながら高鋏で収獲したのでした。それにしても、土佐と京都は、特に実が太る冬の気温は大きな差があるはずなのに。やはり温暖化が進んでいる証しなのだろうか。

(元編集局・山藤 廉=京都府城陽市在住)

 

土佐文旦の木