2020.07.28
閑・感・観~寄稿コーナー~
テニスの指導者をしていて、良かったと思うことがある。それは指導者としての自己満足ではなく、人間としてよい性格を持った生徒さんに出会えた時である。
小、中学とテニスを教えた足の速いセンスのあるジュニアが学校で認められ、陸上の単距離選手に衣替えして、大阪で4位になった。応援にも行ったが、「テニスも続けるから」と言ってくれて、高校も推薦で入学した。明るくて思いやりのある子供で、ジュニア仲間に人気があり、レッスン卒業後の今でも生徒たちはラインでつながっている。
ある時、突然コートに遊びに来てくれて、「コロナでしばらく陸上はお休みだ」と言い、足の速さを披露してくれた。うれしいものである。
実力はさておき、人望の厚い人を引き付けるまとめ役としての力をもった生徒さんに出会った。私はその生徒さんとはご近所さんでたまたま毎朝、通勤電車が同じで、これも運命の出会いである。
二人で壁打ちコートに行った時、寂しそうにコートを眺めている一人の青年に声をかけたら、派遣のフィリピン人だった。見知らぬ国に来て半年、理解するのに一苦労だったが、べらぼうにテニスが上手い。これまたラッキーな出会いだ。私たちにとっては大金を拾ったようなもので、すぐに仲間になった。契約期間は二年で、また祖国に帰ってしまうが、渡り鳥のようにわすれないでほしいものだ。
ジュニアの中には、優れた才能を持った選手がいる。大事に育ててほしいものである。いろんな事情で退めざるをえない時もあるが、そんな選手には協会が手をさしのべて世界を目指してほしい。
高齢化社会になった今では、定年後にテニスをやり始める人が増えてきたが、健康テニスだけではなく、楽しさを知ることが大事なのだ。生涯教育といわれ、指導者に求められているものは、ケガをしないで身体をこわさないで、いかに長く続けられるかなのである。
これからもどんな出会いがあるのだろうか?楽しみである。
(元編集制作センターG2・内田 年男)