閑・感・観~寄稿コーナー~
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島で暮らす(7)網の積み上げ、千本ノック(元田 禎) 

2020.06.16

閑・感・観~寄稿コーナー~

 今シーズンの海苔の季節がやって来ました。マルコ水産(広島県福山市内海町、兼田敏信社長)の本格的な準備は、まだまだ先のことですけれど。
 2020年6月上旬、僕は先輩漁師らと、昨シーズンに使った汚れた海苔網の片付けをしました。海苔漁は2月半ばに終わり、海上に張り巡らせていた網は、3月半ばに発酵促進剤をぶちまけて眠らせ、空き地に置いていたのです。
 それを綺麗に洗い、汚れを落とす。 パレットに上積みされた網の山は七つ。2か月半ぶりに黒いシートをはぐると、ハエの脱け殻のウジ虫跡がくっきり残っていました。長男寿敏さん、次男純次さん、先輩の村上泰弘さんの4人で、6月4日から汚れた網を片付ける作業をしました。
 網はまず、巨大な風呂桶のようなもので簡単に洗い、社長が開発した高速洗浄機に寿敏さん、村上さんが網を送る役割。純次さんと僕は、機械から排出される網を手繰り、パレットに規則正しく積み上げていきました。
 「4人がかりでする仕事じゃなあけぇ」と、3日目からは、純次さんと僕の2人で作業。僕は排出される網を取り出し、順序よくパレットに並べて行く。次から次へと排出される網を1人で並べるのは大変な作業で、のんびり積み上げていると、次の網が機械に絡み仕事がストップする。 網は1段1段を交互に重ねて行くのですが、山の高さが肩あたりになると、これが中々上手く積み上げられない。
 「元田さん、『難しい、難しい』って言っちゃぁいけん。簡単なんじゃけ。『難しい』言うたら、ホンマに難しゅうなる」。 次男純次さんの千本ノックを受けること6日間。最初は機械に絡まった網を引き出すのに往生した僕でしたが、最終日は何とか様になりました。やれやれ。お陰で腕はパンパンに張っています。
(元広島支局・元田 禎)
 
洗浄機から排出される海苔網を手繰る兼田純次さん