閑・感・観~寄稿コーナー~
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島で暮らす(6)コロナ苦境、漁師の思いをネットで(元田 禎)

2020.05.05

閑・感・観~寄稿コーナー~

 新型コロナウイルスの感染拡大は社会の隅々にまで悪影響を及ぼし、先が読めない日々が続いています。「三密」とは縁遠い広島県福山市内海町(田島)ですが、4月、5月に開催される予定だったイベントは軒並み中止となり、閉塞感が漂っていたのは否めません。
    4月18日に実施が決まっていた内海フィッシャーマンズフェスト(兼田数馬・実行委員長)もその一つです。田島漁協の若手漁師たちは、貴重な休みを利用して準備を進め、その過程を僕は知っていました。残念で仕方ないのですが、漁師たちはへこたれていませんでした。
    フェス広報担当、中尾圭さんの「漁師の思い、新鮮な魚をインターネットショップで届けない?」の一言で漁師が即座に動き、4月19日から始めた「漁師直送!漁師のおまかせ便」は、わずか10日で発送100件を超える人気ぶり。地元紙やテレビ局が取り組みを紹介したことも大きいのですが、彼らの行動力には驚かされました。
    田島漁協の漁師たちは3月から定置網漁に携わっているのですが、コロナが影響し、仲買業者は高値で引き取ってくれません。「こんなに魚が売れんばぁ(売れない)は記憶がないのぅ」と悩んでいたのに、「魚おらんかったら、お客さんに届けられん。どうしようかのぅ」という嬉しい悲鳴に変わってきました。
    4月20日、朝から準備に取りかかった漁師たち。この日は34件の発送があり、クール宅配便の車を待つ間、僕が勤めるマルコ水産(福山市内海町)前で、記念の写真を撮りました。良い表情でしょう。ちょっぴり宣伝になりますが、漁師のおまかせ便は、以下のホームページで検索できます。よろしくお願いいたします。https://utsumifish.theshop.jp/

(元広島支局、元田 禎)

 

作業の合間に勤め先のアルコ水産で記念撮影
獲った魚をネット販売
獲った魚は宅配便で