閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

1年かけてハープを手作り(宮本 利秋)

2020.03.09

閑・感・観~寄稿コーナー~

 インターネットで面白い楽器がないか探していましたところ、五線譜が読めなくても1時間位練習すれば演奏できるとの記事があり楽器の購入も検討しましたが、高価なためあきらめました。そこで、手作りされている人がいないかネット検索したところ、色々な製作記を見つけ、自分でも作れるのかなと思い挑戦してみました。

 大きさ、形はヘルマンハープに似せてみました。カーブをつけないで台形でも音階は作れるのですが、ヘルマン氏もこだわられた見た目の美しさを重視してみました。

1.製作の第一段階

 ダンボールで模型を作り。この時、グランドピアノに似ている事に気づきました。

2.試作品の製作。

 木材を切り出し、箱型に組み立て表面のみシナベニアを貼りました。

 廃棄物では木目の綺麗はものが無かったので購入。

3.弦、調律ピン、ブリッジピン探し

 弦はピアノ線で何とかなるかと考えましたが、調律ピンが見つからず、六角ボルトにドリルで穴をあけてみましたが、一本あけるのに1㎜のドリルが2~3本必要となりあきらめました。

 ネットで代用品を探しピアノの調律ピンのばら売りを見つけ購入。

 ピッチピンは袋ナットや棚板用のダボ木等を購入し試してみましたがうまくいかず、悩んでいたところ、ホームセンターで偶然ボール状の画鋲を見つけました。

 弦の太さがわからないので、試しにギター弦を購入し試作品に張ってみました。低音部は何とかなりそうでしたが、高音部で一番細い弦(E-1st 0.23㎜)で音出したが、G5(ソ 784㎐)を出すため弦を張り何本も切った。

 そこで、音に合わせ楽器の採寸をやり直し、試作品から高音部をかなり短くなった。

 試作時は調律ピンを垂直に立てていましたが、調律で弦が巻き上がってくるため、斜めに立て弦がピンに真っすぐ張れるようにしました。

4.弦はギター用のばら売りから一番細い0.008インチ(0.2032㎜)を購入。何とか2オクダーブの音階ができました。

5・楽譜は童謡集などから書き直しています。

 

 楽器、楽譜、弦にいたるまで全て特殊なため、一般に流通しておらず、日本ヘルマンハープ協会のもとでないと購入できません。

 本物を見たことはありません。演奏もネットで聞きましたが、生で聞いたことがないので自作の音がどの程度のものか分かりませんが、自分で楽しむ分には十分です。大きな音がしないので室内で演奏しても大丈夫です。少し広い場所ではアンプを遠さないと聞き取れなくなります。

 最初につくりましたダンボールは廃棄しましたが、試作品は調律ピン等外した状態です。箱状の様子がわかると思います。

 楽器は楽譜を弦の下に差し込み、音符(電車の運行表のような感じ)をなぞって演奏しますので、長い曲を演奏するのは難しいです。本当に簡単な曲なら他の楽器を演奏できなくても少し練習すれば演奏できます。構想から製作まで1年位楽しみました。

 この楽器がピアノの白鍵、黒鍵が真横に並んでいるような感じですので、移調が簡単にできます。ピアノでしたら移調すると白鍵部分が黒鍵に変わったりしますが、弦が半音ピッチでそのまま並んでいますので、楽譜をスライドするだけで演奏方法は全く変えずにできます。自分の好きな音程にして演奏できます。

 

 製作費用は調律ピン(@73)×25本 調律器具(@700 ) 弦(@102) ×25 シナベニア板(約1500)、ブジッジピン用画鋲20本(@200)×2 計7000円位です。(試作時の材料費を含めても1万円くらいです)

 あくまでヘルマンハープの模造ですので取扱にご注意願います。

(元制作技術局統括管理部・宮本 利秋)

 

試作品の裏側
ハープ・ピッチピン(上部の緑点、紫点)は画鋲を使用。調律ピンの上部にある横棒(シュテーク)はビニールハウスのカーテンレールで代用
楽譜はこんな感じ。電車の運行表に似ていますよね。音の長さは●の大きさで示されています。まだまだ上手に演奏できませんので、右手の人差し指一本で弾いています。上達すれば伴奏用の音符も追加し、左手で伴奏します