閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

タマモベストプレイとの出会い(泉谷 貞憲)

2020.01.07

閑・感・観~寄稿コーナー~

 定年退職1年前に、退職後の私達が退屈しないようにと飼い始めた子犬(ラブラドールレトリバー)との楽しい生活も14年間で終わりました。この犬種は賢くて優しく、大型犬でも人間と同居出来たので私達の家族同然だった。2年後の2017年に愛犬の散歩仲間が落ち込んでいる私達を心配し、夫婦で一緒にと乗馬をすすめられたのが始まりです。
 動物が大好きな妻も一緒に2017年4月から乗馬クラブクレインに通い始めた。乗馬は乗っているだけなのに適当な運動量量があり、足腰の筋肉や体幹が鍛えられる。乗馬を週2回のペースで続けて現在は250鞍くらいでも上手に乗れない。しかし年齢を考えると障害を飛んだりするよりも、自然の中を馬とゆっくり歩くことを目標にするしかない。
 草食動物の馬は臆病で神経質なため、騎乗者の腕次第で大きく変化する。人間に対しても好き嫌いが激しく、日によっては態度が変わり嚙みつく事もあり、心が通い合うには少し時間かかる(お金もかかる)。だが親しくなれれば犬なみの優しさと可愛さがあるのではないか…と感じることがあるので馬に会うのが楽しい。大きな顔を摺り寄せてきて鼻を鳴らされると、思わずその顔を抱きしめたくなる。
 この乗馬クラブに100は頭位の乗馬可能な馬がいるが、まだ30数頭しか騎乗していない。当日のレッスンの都合で特定の馬に当たる場合が多く、同じ馬に35回くらい騎乗し、た事もあるのでその馬とは当然ながら仲良くなった。
 競馬を引退した名馬の多くは繁殖馬になるそうだが、G1にも出走した事もある少し有名な馬がこのクラブに来た。馬の名は「タマモベストプレイ」。2018年に競走馬を引退、2019年の夏ごろに調教も一応ませて、ベーシッククラスの私達にもレッスンで騎乗可能になった。
 初めて騎乗するとき、私も未熟者で不慣れなため信頼関係が保たれず、馬装時にかなり抵抗され困った。2回目もインストラクターの助けで騎乗できたが、競走馬の時の激しい気性がまだ残っているようで、可哀想な気持ちになった。8年間の激しくて極限を求められる厳しいレース生活環境から、従順で規律を守れてゆったりした乗馬用の馬に変わって行くには、かなりの時間と人間との信頼関係が必要だと思った。
 私は競馬には全く興味がないので競馬場にも行ったこともなかったが、「タマモベストプレイ」を知ってから資料を調べると、G1に出走する事が大変なことだと知った。この馬は2013年の有馬記念で人気になり、前評判高かったが結果は5位に、これ以降も活躍をして札幌などで何度か優勝しているそれなりの名馬…だそうだ。
 現在でも競馬フアンが「タマモベストプレイ」を見にクラブに来て写真を撮っている。今も使用している「メンコ」はフアンからの贈り物で、現役時代に使っていたのと同じ物だそうだ。他にも引退後、乗馬クラブに来ている馬がいる。親が名馬など各々それなりの物語があり興味が湧いてくる。
 これから2人の趣味(ゴルフ、アスレティックジム、野鳥撮影)を大幅削減…?して身体と資金の続く限り、「タマモベストプレイ」の余生を見守っていこうと思っています。

 (元工程管制室・泉谷 貞憲)

 

タマモベストプレイに騎乗して
馬はセントエリート
妻のレッスン風景