2025.11.14
閑・感・観~寄稿コーナー~
◆「自由投稿・毎友会文芸」と名づけたコーナーを新設しました。会員のみなさんの文芸作品を掲載します。自由に投稿できるので、どしどし作品をお寄せください。投稿は作品、作品のジャンル(短歌、俳句、川柳など)、簡単な説明などを添えて、ホームページ委員の梶川伸のメールアドレス(shinmafuyu@nifty.com)へ。作品にちなむカット写真があれば、それもお願いします(ない場合は、係がみつくろいます)。たくさんの作品をお待ちします。。
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第2回=髙松童芯(道信)さん(俳句)
「別れ霜四十二年の務め措き」を携えて2011年4月、当時住んでいた岡山・倉敷市の多津美公民館の句会に参加した。その2週間前に見学。その折、句会のリーダーから「歳時記を買って、五七五で」と指導された全くの初心者。爾来、14年。「童芯」と名乗り、西宮に戻った今、3つの俳句会に参加して句作りに励んでいる。駄句を、心境とともに幾つか。
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毎朝夕、3、30分ばかりのウオーキングを日課にしている。自宅周辺の周回で、曜日を決めてコースにバリエーションをつけている。雨の日も風の日もの全天候型。住宅地で所々に田畑が残っている地域を巡る。朝は午前6時前後、11月の今の時期なら日の出前後、夕は午後5時前後、こちらも日の入り前後だ。
幸はふや黄金の夜明け暮の秋
夕焼雲子ら口々に「また明日」
周回地域は数十年前に開発が一段落した比較的、動きの少ないところ。それでも毎日、歩いていると、居酒屋がフィットネス・ジムに衣替えしたり、畳屋の後はマンションになったのを、目にする。地域の西宮市立中央病院が県立西宮病院と統合再編され移転する、と聞く。時代の波に洗われ、変化している。
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文化の日街の古書肆の店仕舞い
ふる里の四の付く日の夜店かな
俳句のおかげで、季節の変化が気になるようになった。また、これまでさほど関心がなかった道端の草木や夜空に目をやったり、生活の中の“ちょっといい事”にも関心が向くようになった。この春、幼稚園のそばで咲いていた、豆に似た小さな花をスマホに尋ねると、Googleの「レンズ」が「南天の花」と教えてくれた。秋に赤い実を鈴生りに着ける南天の花が、こんなに可憐なものとは知らなかった。
点々と禍福転々実南天
悲喜こもごも芙蓉の花の数ほどに
木枯しや宮の大木たじろがず
ランドセル投げて鉄棒秋の空
社会や世界の動きも気にかかる。とりわけ世界的に進む分断や、権威主義の動きが気がかりだ。フェイクニュースや排外主義の横行、ITやAIの進展。なんだか世界は悪い方向に進んでいっているのではないか、そんな風に思ってしまう。とりわけアメリカ。ニューヨークの新市長誕生などで変化するのかも知れないが、あこがれを持って眺めていた世代にとっては、目を覆いたくなる“惨状”に映る。
アメリカの毀れゆくやう濁り酒
白泉忌襖開ければそこは戦場
空にも目が行く。「後の月」という言葉も俳句で知った。中秋の名月の約1か月後の十三夜の月をそういい、2025年は11月2日。そうと知って注意して眺めたが、上弦の月より少し太った月という印象だけで「栗名月」や「豆名月」と言われるほどには、感じなかった。それより今年の中秋の名月。晴天に恵まれ、物静かに進む満月をたっぷり見ることができたが、一人ぼっちの孤独な航海のように感じられた。孤高とも。
今日の月独り漕ぎ出す星の海
ためらひを冬満月に叱られて
<元編集局、髙松道信(童芯)>
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