閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

大道寺峰子のマレーシアだより(1)在住日本人向けにニュースを翻訳

2025.10.12

閑・感・観~寄稿コーナー~

 大道寺峰子さんが定年後、マレーシアに移住して仕事をしているのを知り、毎友会ホームページ委員会から、「マレーシアの今」について執筆の依頼をしました。引き受けていただいたので、連載として随時掲載します。

           ◇

 こんにちは。1992年入社で、2020年に早期定年退職をした大道寺峰子です。

 退職翌年から、東南アジアのマレーシアで働いています。転職も何度か経験し、今はマレーシアのニュースを、マレーシア在住日本人向けに翻訳するという、元の記者職に近い仕事をしています。

 ひと昔前は年金でも移住しやすい国といわれていたマレーシアですが、現在は制度が変わり、年金だけで移住するのはほとんど不可能になっています。

 ただ、日本と時差が1時間ということもあり、コールセンターの仕事(日本からの電話をマレーシアで受けている)など日本人向け仕事は比較的多くあります。また、イオン、ダイソー、ニトリなど日系のお店も多く進出しており、日本製品が手に入りやすく、人々も親日的。元イギリス領だった関係で英語がかなり通用するので、とても暮らしやすい国です。

 国土は、半島部とボルネオ島を合わせて、日本の9割弱の大きさで、人口3500万人。マレーシアの大きな特徴は、マレー系が70%弱、中華系が20%強、インド系が10%弱という多民族構成ということです。このため、マレー語が国語ではありますが、それぞれのコミュニティでメイン言語が異なり、英語が共通語のような位置づけになっています。なので、マレー語、英語、民族言語の数カ国語を操る人なども多くいます。そうした環境に目を付け、近年、子連れで“教育移住”する日本人家族も増えています。

 食もそれぞれの民族のレストランがあるので、とても豊かです。あるニュース番組の調査で、大阪・関西万博で、マレーシアパビリオンのロティ・チャナイという料理が人気ナンバー1だったそうで、こちらでも話題になりました。

 また赤道に近い国なので、暑い国をイメージされがちですが、年中30度前後で、近年の日本の夏の暑さに比べるとよほど過ごしやすいです。また年中気温が一定なので、洋服や家電製品なども少なくて済むのもメリットの一つだなと感じています。

 物価はひと昔前は日本の3分の1と言われていましたが、最近は日本とほぼ変わらないというのが実感です。それでも住宅コストがリーズナブルで、コンドミニアム(いわゆるマンション)にプール、ジムがあり無料で使えるのが当たり前なので、暮らしの満足度は高い気がしています。

 産業的には電気・電子製品が輸出のメインですが、元々ガソリン産出国ということもあり、エネルギー関連などにも力を入れています。また最近は立地的にもデータセンターが建設ラッシュなど、経済に勢いがあります。

 今年は東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国ということもあり、日本からも政治家が頻繁に訪馬しています。また来年、マレーシア観光年を予定しており、南海電車を中心にさまざまなPRが日本でも展開されているようですね。

 毎友会という場に、私の目線からのマレーシアのことを連載するのはおこがましいのですが、せっかくの機会です。少しでもマレーシアに興味を持つ人が増えたり、今の日本を海外から見るとどう見えるか考えたり、またシニアからの新たなチャレンジに踏み出したりするきっかけになればいいな、と思っています。

                  (元広告局、大道寺 峰子)

自宅コンドミニアムからクアラルンプール(KL)市街にかかった虹を望む(2025年9月2日撮影)
クアラルンプールの観光名所「I♡KL」のオブジェ(写っているのは筆者)

 

※この連載は随時連載します。