先輩後輩
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新刊紹介 谷田朋美著「あしたの朝、頭痛がありませんように」

2025.09.28

先輩後輩

 弁護士の青木志帆さんとの共著「あしたの朝、頭痛がありませんように」(現代書館)を出版しました。

 2016年、原因不明の痛みに苦しんでいた友人が、突然路傍で倒れ、亡くなりました。最終的に東京大学医学部付属病院で司法解剖されましたが、原因は分かりませんでした。その数週間前、体調不良に追い詰められていた友人から「薬も何も効かない。どうすれば救われるのか」などと問われた私は「甘えているだけでは」と対話を打ち切ることばをかけていました。

 私自身、病名のつかない体調不良を抱え、「甘えている」という評価を受け入れながら、仕事をしてきました。友人の問いは、私自身の問いでもあったはずでした。それにも関わらず、なぜ、対話を暴言によって絶ち切ってしまったのか。友人が残してくれた「どうすれば、治らない痛みから救われるのか」という大事な問いを多くの人に考えてもらいたいと思い、「記者の目」(「名付けられない病」と24年・「ただ患う」受け入れたい=谷田朋美)で読者に問いかけたところ、記事を読まれた難病の弁護士、青木志帆さんが「一緒に考えたい」と声をかけてくださり、ウェブ上で病についての往復書簡が始まりました。この本は、ウェブで対話を続けてきたふたりの往復書簡をまとめたものです。

 以下、案内文と見出しです。

◇◆

 難病の弁護士・青木志帆と、診断が確定しない新聞記者・谷田朋美。慢性疾患によるさまざまな病苦(頭痛・吐き気・めまい・倦怠感…etc)を抱えながら、なんとか「健常者」に擬態して生きてきた。そんな二人が出会い、交互に言葉を紡いでいくことで「慢性疾患の日常」が描かれていく。
 「健康体」が当たり前に称揚される社会への居心地の悪さ。学校生活、就職、結婚、家族、あらゆる場で「人並み」になれないしんどさ。強さと弱さのはざまで生きる「グレーな私たち」に贈る往復書簡。
 「健康体」が称揚される社会へのアンチテーゼ
【主な目次】
1部 死んでいないので生きていかざるをえない
2部 回復しない人生を生きる
3部 能力主義を病苦と生きる
4部 女性であること/病気であること
5部 往復書簡を終えて
※巻末に大阪大大学院人間科学研究科の村上靖彦教授とのスペシャル鼎談を収載!

      (営業総本部ライティンググループ兼編集局、谷田 朋美)