2024.12.17
閑・感・観~寄稿コーナー~
姉「還暦記念に富士山登りたいねん」、私「私もいっぺん登ってみたいと思ってるねん」、息子「富士山やったら僕も登りたい」ということで、姉と私、息子の3人で、2024年夏に富士山に登りました。山頂までの距離が短く、駿河湾を眺めながら登れることから、静岡県側の富士宮ルートにしました。自分たちですべて計画したので緊張や心配がありましたが、心に残る登山になりました。
私と息子は、3000メートル級の山に5回ほど登ったことがありますが、姉は初めてです。毎日ジムで鍛え、週末になるとサーフィンのため海に通う活動家の姉は、体力面の心配はないため、あとは登山経験!と2月から練習を開始しました。本番が好天とは限らないので、雨の日も寒い日も練習しました。6~7回練習登山をし、ジムでは筋トレ、富士山の本を読み、富士宮ルートで登った人のYouTubeを見て、しっかり準備をしました。心配なのは高山病だけです。
【初日(7月20日)】
私と息子は前日に車で新富士に移動、宿泊。新幹線で来た姉とJR新富士駅で合流します。出発後、しばらくすると視界全体が灰色がかり、富士山が目の前にあることに気づきました。「富士山や!」「でかい!」これから登るのに、車内は大はしゃぎ。
水ヶ塚公園駐車場でタクシーに乗り換え、5合目へ向かいます。1時間ほど高地順応してから、私、姉、息子の順に隊を組んで、ゆっくりと出発しました。この日は7合目の山小屋に泊まるので気が楽です。登り始めから雲やガスが多いものの、順調に山小屋に着きました。
雲が下から上へ吹き上がるように流れていき、富士山の荒々しさを感じます。そのうち雨が降ってきて、「やっぱり富士山で晴天ってなかなかないんやろなー」と言い合っているうちに、今度はどんどん天気が良くなり、きれいな夕焼けや月を眺めることができました。
【2日目(7月21日)】
朝から天気が良く、念願だった駿河湾を存分に眺めながら登りました。しかし、山頂は濃い霧に覆われており、少し先も見えません。がーん。「初めてで全部望んだらあかんな。まずは登頂できてよかったね」と慰め合い、1杯800円(ご飯をつけた息子は1200円)もする、でも超おいしいカップ麺の昼食をとり、剣ヶ峰に向かいました。
そこで写真を撮っていると、なんとなんと!嘘のように霧が一気に晴れ、これ以上ないくらいの好天になったのです!そこから翌日の下山まで、ずっと晴天でした。暑い、まぶしいと言いながらお鉢巡りをし、泊まった8合目の山小屋では、雲に映った影富士が堪能できました。
【3日目(7月22日)】
8合目からご来光を眺めたあと、ゆっくり朝食をとり下山開始。はるかに広がる山裾の緑、駿河湾と空の青、夢のような景色に向かっての下山でした。自衛隊の演習地で大砲を打つ訓練をしているのもよく見え、大きな音が聞こえます。
5合目まで下りてきたときに富士山を振り返り、この大きな大きな高い山に自分の足で登ったのだと胸がいっぱいになりました。水ヶ塚公園駐車場でマイカーに乗り換える時には、富士山は全部が雲に覆われて見えなくなっており、自分たちの幸運を実感しました。
今回の登山は、3人とも元気に帰ってくることが一番の目標でした。だれも高山病にならず体調も崩さず、この上ない好天に恵まれ、人生の宝物となりました。特に、普段はアメリカにいる息子と登れたのは嬉しいことでした。富士山にはまった姉は、毎年行くそうです。
(元営業本部・工藤 由季子)