閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

NPO法人の活動で奈良面に連載(久門たつお)

2024.02.09

閑・感・観~寄稿コーナー~

 毎日新聞との再会は全く予期しないものだった。奈良商工会議所が主催する「奈良まほろばソムリエ検定試験」に2015年に合格した(ソムリエを名乗っているが、もちろんワインのそれではなく、野菜ソムリエ、温泉ソムリエなどと同じ使い方)。その年に合格者で組織しているNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」(以下、ソムリエの会)に加入した。毎日新聞を退社して7年後のことだった。

 加入した翌年に、毎日新聞奈良面でソムリエの会有志が執筆する週1回の連載企画の検討が、奈良支局とソムリエの会で始まった。私も執筆メンバーに手を挙げ、再会に向けて1歩を踏み出した。

 連載タイトルは「ディスカバー!奈良」。奈良県内で案外知られていない歴史や文化の話題を毎回、1テーマ取り上げる。連載は17年1月から2年あまりで108回続き、私は17年8月掲載の蛙股池(奈良市)を皮切りに6回担当する機会に恵まれた。

 ソムリエの会は18年から19年にかけて、会員有志の執筆で県内などのお寺をコンパクトに紹介した単行本「奈良百寺巡礼」を発刊する一方、奈良に「日本で一番古い」や「全国で初めて」が多い歴史・文化や産業の特長を子供たちに知ってもらうことを目指した会員作成の「奈良まほろばかるた」を発行。両方に私も楽しませてもらいながら関わった。

 「ディスカバー!奈良」で奈良支局とソムリエの会のウィン・ウィンの関係が深まり、引き続き奈良面で、それぞれをベースにした「やまと百寺参り」を19年春から2年で94回、「かるたで知るなら」を21年春からで47回連載した。

毎日新聞奈良面に掲載された「やまと百寺参り」の法華寺(20年1月9日付)
「かるたで知るなら」の飛鳥宮跡(22年4月7日付)

 執筆を希望したものの文章を書くことや写真撮影に不慣れな会員も多い。連載開始当初から奈良支局に原稿・写真を出稿する際は、ソムリエの会からチェック役に指名された会員数人がローテーションで前さばき的に点検・手直ししていた。「やまと百寺参り」から私もチェック役に指名され、点検・手直し後に奈良支局に送信し、ゲラ段階まで担当デスクとやり取り。毎日新聞記者だったころ、デスクをしていた時期もあり、一字一句間違いは許されない厳しさを思い出して取り組んでいる(正直に書くとヒヤリとしたことも一度ならず…)。執筆も続けていて、思いのほか忙しい“二刀流”状況に。

 22年春から始まった4番目の連載が「やまとの神さま」。2番目がお寺だったのに対して、今回は神社。県内で、あるいは全国に名前を知られた神社もあれば、有名でなくても地域と共に歩んできた神社も数多い。26年春までの4年計画で160前後の神社を取り上げる予定で、終了後は単行本にまとめる計画。今後も連載を通じて奈良支局とのご縁が続きそうだ。

 

 以上の連載に関する活動は、私のソムリエの会での活動の2本柱の2つ。もう1つは所属している保存継承グループでの活動で、現在は約25人の仲間と奈良県内の市町村指定文化財(彫刻・建造物)を対象に素人目線ながらも保存状態や課題など現地調査を進めている。

 調査結果は関係自治体に提出し業務に役立てていただくことにしている。

 

 ソムリエの会は奈良の歴史・文化・自然愛好者がメンバーのNPO法人として、ガイド、講演講座、保存継承、広報などのグループで活動。会員は奈良県内外の440人(24年1月末現在)。

 これまでの連載で毎日新聞奈良面に掲載された全ての記事はソムリエの会HPにアップしている。お時間が許すようでしたら、ご笑覧ください。URLはhttps://www.stomo.jp/

奈良県桜井市にある安倍文殊院の本堂前での筆者。24年1月、市指定文化財の本堂などの調査で仲間と訪ねた。本堂には快慶作の騎獅文殊菩薩像(国宝)などが安置されている

                         (元編集局・久門たつお)