閑・感・観~寄稿コーナー~
SALON

老人ホームで〝喫茶室のチーフ〟⁉(中谷 清次)

2021.11.25

閑・感・観~寄稿コーナー~

 「いらっしゃーい」「有難うございます」――。私は今、老人ホームの喫茶室でボランティア活動をしています。40年余毎日新聞社で働いていたが、こんな声かけをするのは初めての経験で、いまだに面はゆい思いが消えません。喫茶室は羽曳野の四天王寺悲田院(ひでんいん)の一角で2年前からお手伝いしています。

 喫茶室は週2回。入り口に「喫茶ひだまり」ののぼりを出し午後2時にオープン。私は月2回担当。全メンバーを3人のチームに編成、私はチーフの立場です。メニューはコーヒー、紅茶、ジュースで料金は一律100円。お湯を沸かしコーヒーや紅茶をカップに淹れるまでが私の役目で、それをウエートレスがテーブルまで運んでくれます。ちなみにウエートレスは70歳前後の女性。お客さんは老人ホームの入居者や地域の高齢者などが多く、お互い気心知れた茶飲み友だちだ。

 喫茶室は10年ほど前、校区福祉委員会の呼びかけで始まった。ノウハウを元喫茶店の店主から教わり、コーヒー豆の仕入れルートなども教えを受けた。さてコーヒーのお味は。自慢ではないがビジネス街の喫茶店と比べても遜色ないぐらいの味と香りで、これには私も驚きました。常連さんのなかにハーモニカが趣味の人がおり生演奏もあります。懐メロや童謡にお年寄りは楽しみにしています。客席は決して立派なテーブルや椅子ではないが、15人ぐらいは座れる広さで、古里の思い出話などに花を咲かせ、憩いの場になっています。

 四天王寺は聖徳太子を宗祖とし、私の住んでいる羽曳野など南河内で多彩な社会福祉活動を展開しています。老人ホーム、小学校から大学までの教育機関をはじめ、保育所、学童保育、障害者支援施設など活動は幅広い。夏休みには近くの支援学校の生徒さんが接客の実習にやってきます。こんな活動や伝統から悲田院は社会福祉の名門として全国的に知れ渡っています。

 私は幸い再就職を10年勤めることができました。いま後期高齢のラインに入りこれからどうするか。人間、年をとっても健康でさえあればどうにでもなる。ボランティア活動から2年、甘えず、オーバーヒートせずに過ごすのが健康の秘訣かもしれない。

 コロナ騒ぎで休開店を繰り返していたが11月から再開することになり、ひとまずホッとしています。                     

                      (元地域面編集・中谷 清次)