2021.02.14
先輩後輩
30年前の1991年6月、死者・行方不明者43人が犠牲となった雲仙・普賢岳大火砕流。毎日新聞カメラマンらが亡くなった取材拠点「定点」で、火山灰に埋もれていた毎日新聞の取材車両など3台が2021年2月8日、掘り起こされた。周辺を災害遺構として整備、3月中の完成を目指し、報道各社も資金協力する。当時、現地で取材した神戸金史さん(54)=現RKB毎日放送=のフェイスブックック報告を転載し、加えて募金の趣旨などを紹介します。
大火砕流で毎日新聞関係では、カメラマンの石津勉さん(33)▽制作技術部の笠井敏明さん(41)(▽車両係の斉藤欣行さん(35)=年齢はいずれも当時=が亡くなった。写真部OBでフォーカスのカメラマンだった土谷忠臣さん(当時58歳)も犠牲になっています。
神戸金史さんは91年入社。長崎支局を振り出しに島原支局、福岡総局。2005年に東京社会部からRKB毎日放送へ。09年6月から報道部長。現在、報道局デジタル報道担当局長
◇
長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流で被災した毎日新聞の取材車両を、30年ぶりに掘り起こしました。
入社したばかりでまだ24歳だった私はあの日、1991年6月3日は交代していたので助かりましたが、この車に乗っていた3人の先輩が死亡しました。
午後4時、最初の大きな火砕流が起きました。いつも火山灰が降る中、水を飲ませてくれたりよくしてくれた住民のお宅が心配になった3人は、「ちょっと上がってくるわ」と別のカメラマンに言って、車で上流に登って行き、2度目のさらに大規模な火砕流に巻き込まれてしまいました。
43人の犠牲者のうち、報道関係者は、チャータータクシーの運転手を含め20人。
住民が巻き添えになったという批判もあり、複雑な感情が地元にはありましたが、30年経って、地元の町内会が「この車をこのままにしておいてはいけない」と、掘り出してくれました。現地を整備し、毎日新聞の車両と2台のタクシーを保存します。長崎に拠点を置くメディアは資金面で協力することになっています。
掘り起こされ、釣り上げられた車が地面に降ろされた時、万感胸に迫る思いがしました。
今日はとても良く晴れて、きれいに普賢岳の全貌が見えました。
◇
普賢岳災害は、噴火から終息まで5年にわたりました。この間、1000人を超える報道関係者が現地入りしたと思いますが、大火砕流前を知る記者で終息まで見続けたのは、私一人だと思います。
当時のことは、28歳で書いた手記『雲仙記者日記 島原前線本部で普賢岳と暮らした1500日』にまとめて、1995年に出版しておりますが、すでに絶版であるため、昨年秋からネット上で公開を始めています。
https://note.com/kanbe67/m/m7b35a97cf3ae
◆被災遺構整備に寄付を募ります
雲仙被災30年にあたり、地元の方々が、私たちの仲間を追悼し、教訓を語り継ぐ場を整備することを企画しました。「消防団は、報道陣の巻き添えで死んだ」という厳しい目があった中、30年後にここまで来たことは、胸に迫るものがあります。
毎日新聞を含め、長崎に拠点を置くメディアは資金協力で一致しましたが、当時取材に携わり、知人・友人を亡くした方も全国におられます。受け皿となる窓口を作って、広く募金を集めて地元に送り、かつ二度とこうした被災を起こさない誓いとしたい。
当事者である私は、そう考え、寄付専用口座を開設した次第です。
ジャパンネット銀行 はやぶさ支店 (金融機関コード 0033、店番号 003)
※ 4月、PayPay銀行に改称予定
普通 4858626 カンベ カネブミ
◆1口 2,000円から
◆振込手数料 各自ご負担ください
◆受け付け期限 7月30日まで
同じ趣旨の文章を、RKBニュースnote公式で公開しています。
https://note.com/rkb_digital_hodo/n/ne7ba435dddd7/
定期的に関連記事を掲載する公式Facebookページは、こちらです。
https://www.facebook.com/Unzen.Teiten/
クレジットカードを利用する寄付専門サイトも用意いたしました。
https://syncable.biz/associate/Unzen-Teiten/
◇
大火砕流から20年に当たる2011年6月に、「長崎・雲仙普賢岳噴火:同僚失った毎日新聞記者、20年の思い」として神戸さんを含め4人の記者の思いがヤフーニュースに綴られています。下記のURLでご覧ください。
https://ameblo.jp/tokugawa39/entry-10911839364.html
=東京毎友会のホームページから2021年2月12日
(東京毎友会トップページ→トピックス)
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