閑・感・観~寄稿コーナー~
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オンラインツアーで苦境脱出をーコロナ禍に沈む旅行関係者にコツを伝授(豊島 眞介)

2021.02.13

閑・感・観~寄稿コーナー~

 緊急事態宣言下に居酒屋さんなど飲食業者の皆さんが「売上6割減」などと苦境を訴える記事をよく見ますが、旅行業界への影響はそんなものではありません。海外旅行に特化した会社の中には売上95%減、残り5%は支援金というところもあるほどです。2009年から2012年にかけて毎日新聞大阪開発の社長を務めましたが、大阪開発の旅行部門「毎日新聞旅行」は経常的な赤字に苦しんでいました。その打開策を見つけるため、2010年に旅行産業の経営者を育てる私塾「旅行産業経営塾」に1年間通いました。講師は観光庁長官、JTB社長らがずらり。若い人に交じって勉強するのもとても刺激的でした。

 私は2020年3月で大学の任期が終わり、旅行業の経験を生かして4月からは海外からの観光客向けに日本文化を紹介する仕事を始める予定でした。そこにコロナ禍。私は年金もありますし、インバウンド客が復活するまでじっくり英語力を鍛え直す余裕がありますが、旅行業の仲間たちはそうはいきません。あの手この手で収益確保に動くうちオンラインツアーという新しい旅の形も見えてきています。そこでオンラインツアーのやり方を提示するとともに、2021年2月下旬からオンラインで新規の塾を再開しようとしている旅行産業経営塾のPRを兼ねて、オンラインプレ塾を大阪在住の塾OBで展開しました。以下は当日の模様をFacebookで報告したものです。

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 ガイドには愛情、熱量の伝播ができる面白い人を、旅行のコンテンツは地元の人も遠方から来る人も楽しめるものに、そしてツアータイトルはお客様の心を鷲掴みにする具体的なものに――。2月6日午前9時半から、旅行産業経営塾OB会主催のオンラインプレ塾from KANSAIが開かれました。2月27日からスタートする旅行産業経営塾オンライン塾のPRが狙いとしつつ、コロナ禍で苦境に立つ旅行産業に従事する人に向けて、オンラインツアーという新しい突破口を提示するという欲張りな企画でした。

 旅行産業経営塾OBの関西在住者6人(うち1人は鳥取からオンライン参加)が運営に当たりました。全国から92人の申し込みがあり、約80人がZOOMを介してのプレ塾に参加しました。

 メイン講演のタイトルは「地域の観光事業者発のマイクロツーリズムの価値とオンラインツアーの可能性」。NHKのブラタモリに出演し、企画相談にも乗っているまち歩きツアー会社「まいまい京都」代表、以倉敬之さんに講演いただきました。年間700コースのまち歩きツアーを開催している経験から絞り出した一言が「成功のポイントは面白い人をガイドに起用することに尽きる」。「面白い人は愛情、熱量を持っていて、それがお客様に伝播する」。ガイドは募集せず、人づてに面白い人を探すのでした。参加者がチャットで次々と質問するのにも、催行人数、時間帯、参加費など包み隠さずオープンに。二条城のオンラインツアーの一部の映像も紹介するなど、オンラインツアーのやり方が腑に落ちる講演でした。

 この後、参加者を10のグループに分けそれぞれが手オンラインツアー案を作るという本番の塾さながらのディスカッションも。各グループに張り付いたOBチューターの手助けもあって、短時間ながら工夫を凝らしたツアー案が出来ました。

 そこに以倉講師からの辛口講評。「内容はともかく、具体的でパンチのあるツアータイトル作りに全力を注いでください」。見出しづくりに命を賭けた筆者が膝を打ったことでした。

 写真は大阪市内のコワーキングスペースで運営に当たった関西の塾OBです。この後のビールがおいしゅうございました。

                           (元総合事業局・豊島 眞介)