2020.12.09
先輩後輩
人気の職業への道を紹介するぺりかん社の「なるにはBOOKS」シリーズから『裁判官になるには』が出版されました。中高生向けの入門書ですが、現役の裁判官や書記官のナマの声が数多く掲載されていて、現代のリアルな裁判所を浮き彫りに出来たと自負しています。
筆者は1990年代に東京社会部の司法記者クラブ員としてロッキード事件の裁判などを担当しましたが、当時と比べ裁判所の雰囲気がガラッと変わっていて驚きました。
最大の変化は、この本のカバーに女性裁判官が描かれているように、女性の進出です。数字で表すと、2005年には女性裁判官の割合は全体の16.5%だったのですが、2019年には26.7%に増えています。大雑把にいうと、女性の割合がおよそ15年間に6人に1人から4人に1人に増えているのです。
裁判官になるには、文系で最難関と言われる司法試験に合格しなければなりませんが、その試験も相次ぐ改革で門戸が広がり、合格率がグンとアップしています。以前のように、何年も浪人を続ける人は大幅に減っています。
また、裁判所といえば役所の中でも最も堅いと言われていましたが、著者が担当していた頃に比べてソフトになったなと感じました。裁判所の取材は主に最高裁事務総局広報課の現役裁判官が対応してくれましたが、とてもオープンで、本の文章表現についても、それほど細かくチェックされませんでした。
以上のような雰囲気を出来るだけ本の中身に反映させようと努めたので、中高生にとどまらず、一般の方にも興味深く読んでいただけると思います。
「なるにはBOOKS」のシリーズでは、すでに『検察官になるには』が今年5月に出版され、好評発売中です。2冊合わせて読んでいただければ、現在の司法の状況が理解していただけると思います。書店などで本を見かけましたら、手にとって読んでいただければ幸いです。
(ぺりかん社、1500円+税)
(飯島一孝=元東京本社社会部員、元モスクワ支局長)
=東京毎友会のホームページから2020年12月3日
(東京毎友会→新刊紹介)
最近の投稿
2024.10.27
元外信部、経済部の嶌信彦さんが『私のジャーナリスト人生 記者60年、世界と日本の現場をえぐる』を刊行=東京毎友会のHPから
2024.09.18
新刊紹介 71入社、元長野支局員で元村長・伊藤博文さんが『あの世適齢期』を刊行=東京毎友会のHPから
2024.09.09
新刊紹介 95歳、元気でコラム執筆の元エコノミスト編集長、碓井彊さんが「日本経済点描 続々編」刊行≒東京毎友会のHPから
2024.08.22
新刊紹介 『未来への遺言 いま戦争を語らなきゃいけない』を前田浩智主筆、砂間裕之取締役が共著で=「日本記者クラブ会報」マイBOOK、マイPR転載(東京毎友会のHPから)